「なぁ…安曇野。お前さ。綾子さんと出会って、今まで付き合って来た女たちに対して自分がいかに愛情がなかったかわかったんだろ?それくらい、綾子さんには夢中になったって事だ。俺にはそれが嬉しかったんだよ」

「成田…」

「お前は女と付き合ってても常にどっかで冷めてた。自分から惚れた訳じゃないからさもありなんだがな。だから自分を見失うほどショックを受けてるお前を見て、気の毒ながらも良かったと思ったんだ。そこまで想える相手に出会えて」

「成田…。お前がそこまで俺の事を心配してくれてたなんて知らなかった。今更だがありがとう」

「綾子さんを見て納得したよ。見た目だけじゃなく、やっぱ内面の良さも滲み出てる」

「そうだろう?綾子の美しさは外見だけじゃないんだ。内面の美しさが外見にも反映してるんだ」

「ちょっと…直人くん…言い過ぎよ…」

「言い過ぎな事があるものか。これでもまだ言い足りないくらいだ」

堂々と俺は言い切った。

成田が穏やかな笑顔を浮かべながら言った。

「ほらね。こんな安曇野見た事ないんだって、マジで。こんな恥ずかしげもなく惚気るお前を見れる日が来るなんてなぁ…」