俺たちは成田に促され、向かい側に並んで座った。
店員がメニューと水の入ったグラスを置いて行く。

「それにしても相変わらずここは雰囲気がいいな」

俺がそう言うと成田も頷きながら言った。

「接待ではよく使うんだ。席同士が適度に離れてるし、雰囲気がいいから商談も上手くいく」

「ホテイがやっているがビールは出来立てを提供してるんだろ?旨いと聞いたぞ?」

「そうなんだ。ビール工場見学で飲ませてもらうような、泡が絹のような舌触りでな。旨いぞ」

「綾子。飲んでみるか?」

「ええ。是非」

「じゃあ、生ビールをグラスで、それとつまみは…どうする?」

俺が尋ねると成田が

「俺はなんでもいいぞ。お前らに合わせるわ」

と言って微笑んだ。