成田は既に着席していた。

俺の顔を見るなり「おう!」と言って右手を挙げた。

「待たせたか?」

「いやいや、さっき来たところだ」

綾子が俺の横から挨拶する。

「初めまして…。上杉綾子でございます…」

「おお…こちらが噂の天女様か」

「えっ?天女?」

「俺がコイツに君の事をそう言ったんだ」

「もぅ…直人くんたら…」

「事実だから仕方ない」

「恥ずかしいじゃないの…。成田さんにそんな…」

そこで成田が豪快に言った。

「いや、あながち間違いじゃないですよ!安曇野は滅多な事では人を褒めないですからね。貴女がコイツにとって天女だっていうのは真実でしょう」

「お恥ずかしいです…」