そうだ…。
成田にも何か礼をしなきゃな…。

「綾子、成田に礼の意味で何か買おうと思う」

「そうね。彼のお陰で上手くいったんだものね」

正確に言えば、アイツのアドバイスに百パーセント従ったのではない。
自分から動くなと言われていたのにやむを得ず動いたのだから。

だがアイツに言われなければ俺は肚を決め兼ねていた。
自分でどうする事も出来なかったのだから、やはりアイツに相談して良かったのだ。

この前会った時もカジュアルな格好をしていたし、コットンシャツか何かでいいだろう。
ここはハイブランドだしたかがコットンシャツと雖もかなりの値がする。
派手なアイツに似合いそうなピンクを選びプレゼント用にラッピングしてもらった。

「喜んでくれるといいわね」

綾子が微笑みながら言う。

「気に入らないなら俺が着るさ」

「直人くん、似合いそうね!」

二人で腕を組み、成田との待ち合わせの店に向かった。