「何か身につけるものがいいと思うの」

「身につけるものか…。そうはいっても男だから、アクセサリーという訳にもな…」

「腕時計は?」

「値が張り過ぎるだろう」

「ネクタイじゃ毎日という訳にはいかないし。あのネックレスだってかなり高価だったでしょう?腕時計でもいいと思うけど…」

さすがに腕時計はまずい。

確かにあのネックレスはかなりいいお値段だったが、それは俺が勝手にした事だ。

「じゃあ…財布はどうだ?今持っているやつはかなりくたびれてきたし」

「そうねぇ…。財布じゃ安くない?」

「綾子がくれるというだけで付加価値がつく。最高級品と同じだ」

綾子は結局財布で納得してくれ、二人でブランドの店に入った。

「どういうのが好み?」

「そうだな…。あまり派手でない方がいいな。材質はなんでもいい」

綾子は財布などが置かれている雑貨コーナーに向かった。

散々迷った挙げ句、黒い本革の長財布に決めた。
手に持った時しっくりと馴染んで、使い込めば本革独特の風合いが増す。
長く使えそうな逸品だと思った。

プレゼント用にラッピングしてもらい、紙袋に入れてもらう。