「いらっしゃいませぇ」

いかにも大阪のオバチャン、というふくよかな中年女性と、筋肉質の中年男性の二人が鉄板を前に立ち働いている。
店内には香ばしいソースが焼ける匂いが充満し、さほど空腹を感じていなかったにも関わらず腹の虫が鳴り出した。

予備知識がない俺は、壁に掛かった手書きのメニューを見てもよくわからない。

豚玉、イカ玉、エビ玉…モダン、ミックス…
ネギ焼、どて焼き…どて焼き?なんだ、これは?

俺は店の人におススメを聞いた。

「そうやねぇ…ガッツリ食べたいんやったらやっぱモダンやろなぁ」

「モダンとは?」

「豚玉の中に焼きそばが入ってるんですぅ」

旨そうだ…。

綾子が「私それがいい!」と言ったので俺も同じものをオーダーした。