彼も彼女との間に隠し事はないようだった。
だが、彼が何の意味もなく俺を誘うとは考えにくい。
きっと何か俺に相談したい事があるのだろう。
それを単刀直入に尋ねると「可及的速やかに解決しないといけない問題がある」と言った。

彼がそこまで言うというのは、本当に切羽詰まっているという事だ。
恐らく彼女との何か…

だが俺が年若い彼の相談事に乗れるだろうか?
ならばやはり綾子の存在は不可欠かもしれない。

男と女だから考え方に多少の相違はあるかもしれないが、少なくとも年齢的には俺より伊藤くんに近いのだから身になるアドバイスをしてくれる可能性が高い。

伊藤くんは未だ遠慮していたが、結局三人でメシを食いに行こうという話で落ち着いた。

綾子には途中でメールを送っておいた。
俺の思った通り、綾子は伊藤くんが合流する事を快諾してくれた。