「本当にあなたは…私を甘やかし過ぎね…」

「まだまだ足りない」

「もう少し厳しくしないと…私の事だから、またあなたを悩ませるかもしれないわよ?」

「確かに君は俺にとって悩ましい人だな。そんなに厳しくして欲しいなら…望む所だ。今後一切手加減しないからな」

「怖いわ…。面倒な顧客を担当させたりしないでね?」

「手加減しないのは仕事の事じゃないんだがな…」

なんとなく直人くんの言いたい事がわかってしまい、頬が熱くなる。

「直人くんたら…。でも…あれだけ酷い事を言って傷つけた私を…あなたは許せるの?」

「そうだな…。許し難い…」

「えっ!?」

「お仕置きが必要かもな…」

直人くんはそう言って意地悪な笑みを見せた。

「お仕置き…って…」

「言わなくてもきっと綾子にはわかっているんだろう?」

顔が火照る…。
直人くんたら…なんて事を言い出すのかしら…

そして目の前がフッと暗くなり。
直人くんの顔が至近距離まで近づいて来た。
そっと目を閉じようとしたその瞬間…

コンコン!
いきなりノックの音がして、私はここが実家であるという事実に引き戻された。