「…あなたに相応しくないままの私では…到底やり直す事なんて出来ないわ…」

「相応しいかどうかは俺が決める。俺は…綾子がいい。綾子だけがいいんだ。君以外は…必要ない…」

本当にあなたは…
いとも簡単に私の心を手繰り寄せて…
懐に包んでしまうのね…。

「もう…ゲームオーバーだと…思っていたの…。しかも…それは自決しての…」

「ゲームはまだ終わっていない。ゴールまでは数多の難局を乗り越えて行くのがゲームの醍醐味だ。だからこそ…一陽来復ではないのか?」

「私に…幸せになる権利なんてない…」

「それも君が決める事ではないな…。俺が決める…。君の幸せは…俺がこの手で掴み取るから…」

あぁ…
もう…これ以上…
自分の心に嘘はつけない…。
あなたが好き…

「まだ…望みがあるのなら…」

直人くんはそう言いかけた私の唇に自分のそれを重ねた。

唇から帯び始める熱がどんどん私を侵食して、堪らなくなる。

でも直人くんはすぐにその唇を離した。

「綾子の気持ちを…聞かないままで暴走した…。すまない…」

「謝らないで…。謝らなきゃいけないのは…私の方です…」

「綾子…」