「綾子…俺は…君の為なら何でも犠牲に出来る…。俺の人生が君のせいで汚辱されるというのなら…喜んで人生を捧げよう」

どこまでも…愚かな人…
どうして…そこまで言い切れるの?
どうして…
もっと我欲を剥き出しにしないの?

「あなたの華々しい人生が錆び付いていくのをわかっていて…それは出来ません…。あなたには沢山の人が期待をかけているのに…」

「関係ない奴らの為なら寧ろ期待外れで構わない。俺は奴らに何も求めない。奴らも俺に何も求めないで欲しい。だが…綾子に対してだけは違う。俺の人生に綾子がいなければ崩壊した方がよほどいい。言った筈だ。君のいない人生は俺にとっての生き地獄だと…」

彼の言葉が私の胸にさざ波を立てる。

そう…
何度も聞いていた私を喜ばせる言葉の数々。
でも可愛くない私は素直になれないの…。

「私なんかよりもっと相応しい(ひと)がいるわ…」

どこまでも卑屈になる私。
それでも彼は諦めずに続けた。