伊藤さんも課長の発言に驚きを隠せない様子で言った。

「え…洗礼って？」

直接尋ねられたら答えるしかない。

「あの…最初に行ったお店で…担当の方に罵倒されたんです。女というのが気に入らなかったようで…」

「そんな…酷いですね…」

話の続きを促された私は内心の怒りを隠し、『一応』上司である課長を立てた言い方で顛末を説明したけれど…

一体どこまで無神経なの…

あんな話を伊藤さんにするなんて。

女だとバカにされただけでもプライドがズタズタなのに、それを伊藤さんに話して聞かせるとは。

一体この人のどこに上司としての尊厳があるというのだろうか。

磯貝課長の爪の垢を煎じて飲ませてあげようかしら…。