遊び…

もし、桜井さんの言う通りなら、あの人の演技力は相当なものだわ…。
短い間だったけれど、一緒に過ごした濃密な時間は、決して演技なんかではないわ。
最低な私でも…それくらいは見抜ける。

でも…桜井さんをやり込めるだけの手練手管が私には備わっていない。
どうやってこの難局を切り抜けたらいいのかさえも…。

「ちょっと聞いてるの?」

「はい…」

「だからね、みすみす遊ばれてるとわかってて直人にハマる必要ないと思うのよ。あなたくらい美人なら、年相応の男の方が絶対うまく行くと思うわ」

「私は…恋愛には縁がありませんから…」

「そう?じゃあ直人には近づかないって約束してくれる?」

「元々そんな気はありません」

「だったらいいわ。あたしたちの邪魔さえしないでくれるなら」

「邪魔をするだなんて…」

言いかけた私に桜井さんが被せるように言う。