でも…
彼女はあの人のプライベートの顔を知っていた…。
会社では絶対に見せない素の顔を、彼女には見せたの?

あぁ…どうして私はいつまでもウジウジ悩んでいるのだろう…。
あの人が差しのべてくれた手を握ってさえいれば未来永劫、二人は離れる事はなかったのに…。
私の醜い独占欲があの人の過去を許せず、素直になれなかった。
そして、あの人は私を手放した。

何もかも私自身が悪いのに…。
桜井さんに嫉妬するなんて、どの面下げて出来るというの?

あの人が彼女の気持ちに応えたなら、それはあの人が選んだ事。
私がとやかく言える問題ではないわ。

だから…
私は行かない。絶対に。

…そう…決意した筈なのに…
私は彼女が言っていたRホテルに来てしまっていた。