こういう言動一つ一つにも、人事課時代との違いを思い知らされる。

ああ…　もう私は営業の人間なんだ…。

二度とあの大好きだった空間には戻れない…。

郷愁にも似た思いが押し寄せて卑屈になりそうな自分を奮い立たせるため、伊藤さんに話を振ってみた。

「それで…どうでしたか？」

伊藤さんは課長に促され、説明を始めた。

「はい…あの、今のお店はまだうちの商品の扱いが良かったんです。売れ筋として扱ってくれてる感じでした」

「そうですか…」

すると突然課長がとんでもない事を口にした。

「上杉くんはいきなり洗礼を受けたな」

なんですって！？

この人は何を言い出すの？