"コンコン!"

突如至近距離で響いた音に驚いて跳ね起きる。

あ…いつの間にか寝てしまってたみたい…。

音がしたのは私が座っている後部座席のウィンドウで…

叩いていたのは安曇野…課長。

しかもニヤけている…。

「お疲れかな?」

当然でしょう?

これで疲れない人がいたらお目にかかりたいわ!

課長は笑いながらドアを開け運転席に座った。

私は内心の腹立たしさを隠しながら心にもない謝罪をする。

「すっ、すみません!なかなかお戻りにならないからつい…油断してました。申し訳ありません!」

疲れただろうから寝てなさいと言われたけれど、はいそうですか、と言って寝れるほど私の神経は図太く出来ていないの。

気丈に大丈夫と言ってはみたものの、さらっとこれからもっとキツイ事になると示唆する課長…。

一応恐縮したように見せかけて謝っておいた。