「安曇野さん…。我儘な娘で誠に申し訳ない…。一途な性格ゆえに、時に暴走してしまうんです…。どうか…綾子を見捨てないでやって下さい…」

「お父さん！全て私が至らないせいで…綾子さんに辛い思いをさせてしまったんです…。あれだけ約束しておきながら…情けないですが…。でも！私は綾子さんを諦める気は毛頭ありません…。どれだけ時間がかかっても…必ずや綾子さんにわかってもらえるよう努力します…ですから…どうか…」

お父さんは俺の肩に両手を置いてただ頷いてくれた。
俺はただ泣きながらお父さんにひたすら頭を下げ続けた。

階段を降り一階に着くと、お母さんも涙を流しながら頷いてくれていた。

「申し訳…ありません…」

「安曇野さんが謝る事ではありませんわ…。きっと…あの子が…綾子が…潔癖過ぎて…色んな事が受け入れられないだけだと思いますの…」

「私の…過去の女性遍歴が…彼女を苦しめているのです…」

「そんな事で…？あなたの年齢を考えれば当然ですわ…。それに…そんな理由であなたを嫌いになるなら…最初から好きになどなっていない筈です…。あの子は…そういう子です…。ですが…きっと、引っ込みがつかなくなってるんだと思いますの…。意地っ張りな子ですから…自分からは素直に謝れないだけで…」

「わかっています。お母さん…明日もお邪魔して宜しいですか？…もしかしたら…毎日お邪魔するかもしれないですが…」

「宜しいですよ…。私たちも…協力致しますから…」

「有難う…ございます…」

俺は何度も何度も頭を下げ、綾子の実家を後にした。