「滑り出しとしては上々だな…」

「でも課長…。何もあそこまでなさらなくても…」

「あれぐらいやらなければ収まりがつかなかった」

「かなり憤っておられましたから…」

「あれは避けられない事態だったろう。同行していて良かった。君一人じゃどうなっていたかわからん」

「修羅場にでもなったとお思いですか?」

「あの時の君の様子じゃ、そうなっていてもおかしくはない。違うか?」

確かに…

あの担当者の横柄な態度に堪忍袋の緒が切れそうだったのは間違いないわ。

でも私だって伊達に教育担当を長年担って来た訳じゃない。

あの場を上手く切り抜ける事だって出来た筈よ…。

自分がちょっと助け舟を出したからって得意気になって…

嫌味な男!

「課長の仰る通り…私もかなり憤ってはいましたが、感情を殺す術くらい心得ております」

「そうは見えなかったがな」

ほぼ初対面に等しいあなたに私の何がわかるっていうの?

驕り昂るのもいい加減にして欲しいわ!

「私も心してかかったつもりです。課長のご配慮には感謝しますが今後は自分一人で対処致しますので」

課長のわかったような態度に納得がいかず、生意気な言い方をした。

「そうか?それなら俺は大船に乗ったつもりでいればいいな。お手並み拝見といこうか」

いいわ…。受けて立とうじゃないの。

経験のない私のやり方を上から値踏みしていればいい。

絶対にあなたをギャフンと言わせてやるわ。