「課長?」

「すまんな、伊藤くん。俺はこのまま出る。後は…頼めるか?」

「わかりました…。施錠チェックと…えっと、」

「施錠チェックだけでいい」

「あ、はい…。わかりました、大丈夫です」

「悪いな」

「お疲れ様です」

伊藤くんを置き去りにし、俺は急ぎ会社を出た。

桜井…お前何考えてるんだ?
何故綾子に敵意をぶつける?

俺は走りながらそんな事を模索していた。
到着した時には既に宴たけなわという状態だった。
部長を始め俺以外の三課長も既に出来上がっている。

「おう!安曇野くん、遅かったじゃないか!」

部長に声を掛けられ頭を下げながら席に近づく。

「真打のお出ましだ」

そう言ったのは二課長の百合田だ。

「なんだ、真打って?」

俺が尋ねると答えたのは百合田ではなく、三課長の竜ヶ崎だった。

「桜井がお前を待って待ちくたびれてるって事」

そういえば桜井の姿が見えない。