朝まで何度となく目を覚ましながら、結局起床時間になってしまった。

熱はおそらく下がってはいないだろう。
それくらいなら体で感じる事が出来る。
念のため測ってみたものの予想通りの結果にもはや嘲笑しかない。
その上、咳まで出るというおまけつきだ。

こんな状態で顧客の所へ行く訳にはいかない。
考えあぐねた末今日は休みをもらう事に決めた。

部長の携帯へ電話をかけてその旨を告げると、

『安曇野くんが風邪なんて何年振りだろうな』

と言われてしまった。

そう言えば長年風邪など引いた事がなかったなと思い返す。
体はだるいが病院に行って受診しなければ長引く事も懸念される。
俺は病院が開く時間を計算して家を出た。

かかりつけ医は車で行っても駐車するスペースを確保してある所だから車で行った。
公共交通機関で行って、無関係の人に迷惑をかけるような事にならないように。
少し早めに出たおかげでわずかに数台は止められるスペースがあった。

医院の扉を開けると既にお年寄りや子供たちでごった返している。
久しぶりに来たが…病院はいつも繁盛してるんだな…。
それも問題だが…。