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真夜中…
背中に悪寒を感じ、起きる。
悪寒を感じる割には額にうっすらと汗をかいている。
なんとなく熱っぽい気がするし心なしか喉が痛い。
ヤバいな…。
風邪引いちまったか…。
俺は気怠い体を無理やり起こし、体温計を取りに行った。
測ってみると…やはり熱があるようだ。
どこかに風邪薬がなかったか?
救急箱を開け、なんとかそれらしきものを見つけた俺は水道水で流し込んだ。
シャワーを浴びてまだ濡れたままの髪をそのままにうたた寝してしまったから風邪をひいてしまったのかもしれない。
それに…
綾子の手料理じゃないものを食べているから栄養も偏っている。
こんな時に風邪を引くなんてな…。
情けなくて笑える。
どんだけ惨めな中年男なんだよ、俺は…
彼女に振られてしょぼくれて無気力な生活を送り、挙句の果てに風邪なんか引いて。
ああ…ネガティブ思考が止まらない。
綾子…君がいなくなってしまってからの俺は…
泣きたい程くだらない男に成り下がってしまったよ…。