「確かに今までのホテイの人達とは、なんか立ち居振る舞いが違うもんね。これまではどこにいたの?秘書課?」

「えっ…と。いえ、人事部に…おりました…」

「人事部?こりゃまあエラくお堅そうなトコから来たんだね?美人だからてっきり秘書課かと思っちゃったよ」

「いえ…そんな…」

「ごめんごめん。さっきはホントに申し訳なかった。どうしても今までのイメージでホテイさんの事信じられなくてさ。悪かったね」

「とんでもございません…。前任者が行いました無礼の数々、課長と共にお詫び申し上げます…。これからは誠意を持って対応させて頂きますので…」

「いいって、いいって!こっちも大人げなかったわ。たださ、うちに卸してもらうビールはカートンだし重たいでしょ?大丈夫?」

「はい!力だけは自信がありますので!」

「まぁ、大変だったら言ってよ。うちにもアルバイトで若いのいっぱいいるからさ。アンタだったら皆喜んで手伝ってくれると思うよ。あ、名刺、もらっとくよ」

私の手に握られたままの、行き場のなかった名刺は、無事担当者の手に渡った。

担当者がそう言ってくれたと(いえど)もいきなり手伝いありきで考えるのは良くない。

でもここは素直に言う事を聞き、相手を立てて気分を良くしてもらうに限るわね。