「初めは浮かれてるだけでな。でも付き合って深い関係になると、途端に不安が襲い掛かるんだよ。自分にしたような事を他の女にもしてきたのかってな」

「…それらしい事を言われた…」

「で、お前はバカ正直に全部話したんだろ？まぁ、それはいいけどな。嘘ついた所で、彼女の事だから疑問に思うたんびに聞いて来るだろうし。どのみち嘘は続けらんねーだろ」

「そうなんだ…なのに…やっぱり無理だったんだろうか…」

「理屈じゃねーよ。頭ではわかってても、気持ちがついていかねーんだろ。ま、経験が足りねー女の典型だな」

「俺はどうすれば…」

「キツイ言い方だがな。安曇野、これはもう賭けるしかねぇ。お前と彼女の縁の深さにな」

「どういう事だ？」

「彼女も苦しんでる筈だ。なんせ初めてのオトコだぜ？自分の貞操を捧げたクソ真面目な女なんだろ？そんな女がお前と別れて、はい次はこの人、なんて器用な事出来ると思うか？俺は絶対出来ないと思うね。彼女の心にある不安とか、疑念とか、そういうのよりもお前への愛情が勝(まさ)った時、彼女は気付くと思うぜ。お前という男の存在意義と価値をな」

「気付いて…くれるだろうか…？」

「だからそれはお前ら二人の縁の深さって事だよ。彼女が気付けないならお前らはそれだけの縁だったって事。潔く諦めるしかねーだろーな」

「諦める…。それが出来ればどれだけいいか…」

「安曇野…。もし、彼女がお前と復縁しないと決意したらそれはそれで受け止めるしかねぇだろ。それで荒れ狂うのもいいと思うぜ、俺は」

「荒れ狂うって…」