一見意見が全く合わない水と油のように思えた俺たちだったが、何故か馬が合った。

見た目もイケている成田のまわりにはいつも女子社員がたむろしていた。
社食でも休憩室でも、成田が女といない日はないくらいだった。
そうなると必然的に女に不自由しない生活を送る事になる。
成田はその辺りもうまく捌いていた。

女子社員に手を出したとしても後腐れなさそうな女ばかりを選んでいたし、会社以外でも相当派手に遊んでいたようだった。
全てを知っている訳ではないが、同期で仲のいい俺が成田の事で女子社員から相談を受けた事は一度や二度じゃない。
同期以外に先輩も後輩もいた。

呼び出されるこっちの身にもなってもらいたいと何度思ったかしれない。
そういう恋愛の橋渡し役に疲れて成田に何度となく苦言を呈したが、

「嫌ならそんな役引き受けるな」

と一刀両断されるだけだった。

成田は女遊びが絶えなくても結婚という選択はしなかった。

あの性格ならそれも然りだ。
自由奔放なアイツが家庭に収まるなど考えられない。
俺とは全く違う理由でアイツも結婚に縁がないのだ。

アイツになら…全てぶちまけたとしても大丈夫だろう。
赤裸々に告白する相手としてアイツほどうってつけの人材はいない。