俺の憂いをよそにコイツは電話口の向こうで豪快に笑う。

『これまた天地がひっくり返るような事もあったもんだ!お前からプライベートの相談を持ち込まれる日が来ようとは!』

「おい…こっちは笑い事じゃないんだ…」

『なんだ?お前まさか…女関係とか言わねーだろうな?』

「そのまさかだよ」

『マジか!?お前が女で悩むなんて嵐でも来るんじゃないか?』

「女の事だから…百戦錬磨のお前に頼ろうとしてるんじゃないか…」

『まぁ…そう言われると否定はしないが…、何か?お前女で失敗したのか?』

「だから…詳しい事は明日会った時に話す。思い出すだけでも辛いんだよ、実の所…」

『それは…穏やかじゃねーな…。お前が女で悩むのも珍しいが…女でお前がそこまで落ちてる…ってのもな』

「とにかく…。頼む。なんとかしてくれ」

『まだ何も聞いてないからなんとも言えねーが…。大丈夫だ。俺に任せろ』

「何も話してないが、お前にそう言われると大丈夫な気がして来る」

『じゃあ、明日な』

「ああ…悪かったな」

俺はそう言って通話を終わらせた。