「そんなつもりは毛頭ございません…、彼女は前任者と違って謙虚ですし、勉強させてやって下さいませんか？」

憤慨する担当者相手に低姿勢を貫く課長。

隣で立っている私は込み上げて来る怒りで今にもどうにかなりそうだった…。

「謙虚！？ホテイの社員に謙虚なヤツなんていねぇだろ？いい加減な事言ってもらっちゃ困る！」

どこまでも言いたい放題…。

私はとうとう黙っていられなくなった。

「あの…」

言い掛けた私を課長の射抜くような視線が制する。

何よ？

ここまで言われて黙ってろって方が無理だわ！

確かに前任者が傲慢な態度で闊歩していたかもしれないけれど、いくらなんでも限度ってものがあるでしょう！

課長は私の憤りをわかっているのかいないのか、いきなりその場に土下座をした。

ち、ちょっと！

何やってるの！？

「これまでの失礼の数々、前任者に代わってお詫び申し上げます！でもこれだけは信じて下さい！うちは二度と、顧客の方々に不快な思いをさせてはいけないと今回人員を大幅に刷新致しました！お願いです！もう一度だけ、挽回のチャンスを下さいっ！」

私は頭を下げながら懇願する課長の姿を呆然と立ち尽くしたまま見つめていた…。