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今まで以上に熱く求めてしまった俺は、少しだけ不安になった。

綾子はまだ放心しているように見える。

それは余韻から来ているものなのか。それとも何かしらの不満から来ているものなのか、俺にはわかりかねていた。


綾子の息遣いが少し楽そうになったように見えたところで、俺は静かに口を開いた。

「綾子…嫌、だったか…?」

天井を捉えている瞳はまだ潤み、何かを訴えかけているようにも見える。

「嫌だった…って言ったら?」

その言葉を聞いた瞬間、俺の心臓は役割を終えてしまうのではないかと思うくらい収縮した。

「綾子…そうなのか?…申し訳なかった…。少し…欲望に任せ過ぎた。許してくれ…もう二度としない。誓う」

「……」

綾子は無言のまま、答えない。

俺は…なんという事をしでかしてしまったのだ…。

いくらお父さんが許してくれて気分が高揚していたからとはいえ。

綾子を傷つけてしまっては何の意味も成さないじゃないか…。

なんという愚かな男なのだろう…俺という男は…

だが、してしまった事は取り返しがつかない。

綾子が許してくれるまで、懺悔でもなんでも、彼女の言う事を聞く。

俺に出来る事はそれしかない。

「綾子…どうしたら…許してくれる?何でも言ってくれ…」