「はぁ…疲れたわ…」

綾子は俺が運転する車の助手席で大きく伸びをしながら言った。

「本当に…プレゼンの方が楽だな」

「直人くん…ごめんなさいね…。私より直人くんの方が疲れているに決まってるのに…」

「どっちがって事はないさ。二人とも疲れて当然だ」

「お腹空いちゃった…」

「そうだな…。なんか旨いもの食いに行こう」

「うん…」

俺たちは帰り道にある高級ホテルに寄り、ちょっと贅沢な食事をした。

頑張った自分たちへのご褒美だ。

「お祝いにワインでも開けるか?」

俺が提案すると綾子は首を左右に振った。

「眠くなりそうだから…やめておくわ…」

「俺も運転があるからな。じゃあ…祝い酒はまた改めるか?」

「ええ…」

豪華で美味な食事を堪能し、ホテルの地下駐車場までエレベーターで降りる。
二人きりになって俺は急に綾子の温もりに溺れたくなった。

「綾子…」

そっと肩を抱き、口づける。

「ん…」

営業のプレゼンよりも緊張を強いられた大仕事を終え、俺も少し大胆な気持ちになっている。