「お前の言う通りだ。結婚出来たのだからそれで終わればいいものを俺は義父に対する意地が捨てきれず、お前たちを蔑ろにして仕事に没頭してしまった…」

「そんなつまらない意地を張って…本末転倒じゃありませんか…」

つまらない意地…
女性にとってはそうかもしれない…。

だが…俺にはわかる。
男は意地で己を鼓舞する時があるのだ。
そしてその相手が偉大であればあるほど、その意地に固執するのだ。
早く追いつき、そして追い抜きたいと…。

「お母さん…それが男という生き物だと思います…」

「え?」

「男は意地を張って、虚勢を張って外で戦うものなのです…。(いにしえ)から男はどんなに恐ろしくても、狩に出かけ獲物を捕らえなければなりませんでした。そうしなければ家族を養っていけないからです。自分より強大な敵が相手の時もあります。しかし恐怖で怯んでしまったらそれは即"死"を意味するのです。だから無理やり自分を奮い立たせて戦うしかないのです…」

「意地を張るのも家族のためだと…仰りたいの?」

「はい…。生意気を言いますが…。同じ男として、家族を守る者として、意地を張るのは決して悪い事ではないと思います…」