「失礼致します。ホテイビールの安曇野でございます」
よく通る声。
会社でこんな声、聞いた事がない。
いつだって淡々としていて事務的で、感情を読み取らせない抑揚のない声なのに…
あのぶっきらぼうな話し方は会社だけで、これが営業ボイスなのね…。
声まで変えなきゃならないの?
課長の声に反応を見せたのは、中年の強面の男性。
座っていた椅子から勢いよく立ち上がり、狭い通路をその大きな体で無理やり押し広げるようにこちらに向かって来た。
「安曇野さん、久しぶり」
「ご無沙汰で申し訳ありません。本日は担当者変更のご挨拶に…」
「らしいね。聞いたよ、うちの店長から。ホテイさんも今までやりたい放題だったからちょっとは考え直したんじゃないかって言ってたトコ」
「いきなり手厳しい…。でも仰る通りです。うちはちょっと傲慢になりすぎていたきらいがありますから…。それでこちらが御社を担当させて頂く上杉です」
課長に紹介されて慌てて名刺を男性に差し出した。
でも私の手から名刺が離れる事はなかった…。
よく通る声。
会社でこんな声、聞いた事がない。
いつだって淡々としていて事務的で、感情を読み取らせない抑揚のない声なのに…
あのぶっきらぼうな話し方は会社だけで、これが営業ボイスなのね…。
声まで変えなきゃならないの?
課長の声に反応を見せたのは、中年の強面の男性。
座っていた椅子から勢いよく立ち上がり、狭い通路をその大きな体で無理やり押し広げるようにこちらに向かって来た。
「安曇野さん、久しぶり」
「ご無沙汰で申し訳ありません。本日は担当者変更のご挨拶に…」
「らしいね。聞いたよ、うちの店長から。ホテイさんも今までやりたい放題だったからちょっとは考え直したんじゃないかって言ってたトコ」
「いきなり手厳しい…。でも仰る通りです。うちはちょっと傲慢になりすぎていたきらいがありますから…。それでこちらが御社を担当させて頂く上杉です」
課長に紹介されて慌てて名刺を男性に差し出した。
でも私の手から名刺が離れる事はなかった…。