そこへ綾子が割って入って声を荒げる。

「お父さん!いきなりなんなの?失礼だわ!」

お父さんは綾子の抗議を完全に無視している。

「お父さん!」

「静かにしないか。お前とは話さんと言っただろう」

「横暴よ!お母さん!お母さん、どこなの!?」

綾子は部屋を出てお母さんを探しに行った。
綾子…お父さんと二人きりにされる方が辛いだろう…?

「うるさいのがいなくなって丁度良かった。それで…質問に答えて頂けないか?」

「はい…確かに仰る通り私は綾子さんより一回り年上で、かつ直属の上司です。会社にはまだ私たちの事は公表しておりませんが…」

「それは何故です?」

「それは…同じ職場ですので周囲に気を遣わせてはいけないと…考えているからです…」

「会社では公私混同はしていない、というのですね?」

「勿論です」

「それは娘も同様ですか?」

「はい。綾子さんも同じです。会社では上司と部下として仕事だけに集中しております」

そこにようやく救世主が現れた。
綾子がお母さんを伴って戻って来たのだ。