だが綾子は俺の本心を悟っていた…。
邪な俺の気持ちをちゃんと汲んでくれ…
全身全霊で俺に応えてくれた。

彼女のそんな健気さが嬉しくて…
俺はさして信心深くもないくせに神に感謝の祈りを捧げた。

神がいるかどうかすら疑っていたというのに…
今の俺はさながら敬虔なクリスチャンといったところだ。
朝起きて窓に向かって祈りを捧げ、眠りに就く前に一日を平穏無事に過ごせた事への感謝の祈りを捧げる。

そしていつも同じ事を願う。
綾子といつまでも一緒にいられますように、と…。
年若い綾子が悲しむような事はどうか一日でも先延ばしにして欲しいと。

俺のような男が望むのは烏滸がましいほど、綾子の存在はまるで女神か天女のようで。
その神々しい存在を穢す事がないよう、俺も日々精進する事を誓う。

まだ瑞々しい硬さの残る果実である綾子を俺の手で完熟させ、その甘すぎる果汁を一滴残らず干させて欲しい。

そう、切に願った…。