「大丈夫よ。無理はしないように適当に手を抜く事だってするわ。だから直人くんも自分の思いを閉じ込めるんじゃなくて、何でも言って欲しいの。そうしなければ長続きしないわ」

綾子の言う事は至極尤もではあるが…

俺の希望をそっくりそのまま話してしまうと綾子に呆れられ…
最悪の場合、見限られる可能性も…

「直人くん?どうしたの?さっきから難しい顔をして…?私、そんなに無理なお願いしているかしら?」

「そうじゃない!そうじゃないんだが…。俺の希望は…その…いつも綾子と…まったり過ごしたいというか…」

「休日は割とまったり過ごしているでしょう?」

そういう事じゃなくて…
何て言えばいいのか…

初心な綾子に悟ってもらうのは至難の業だな…。

「直人くん…もしかして私の事…嫌な所とかがあるの?」

「違う!断じてそんな事はあり得ない!君の事が好きすぎて…いつでも独り占めにしたいだけだ…。その…夜の、方も…」

「え…」

途端に綾子の頬が赤く色づく。

「済まない…。こんな事を言うつもりではなかった…。許してくれ…」

「直人くん…。もしかして…いつも先に寝てると思ってたのは…違うの?」

「あれは…完全に狸寝入りだ…。その…君に負担を掛ける訳には行かないと思って…」

「そう…だったの…」

「いや!でもそれで変な気を遣わないでくれ!とにかく家事は分担しよう。週末の外食も。それだけは納得して欲しい」

「わかったわ…。あなたの気持ちに沿うようにしましょう」

柔らかい笑顔を向けてくれた綾子に安堵のため息が漏れた。