俺と綾子の同棲生活はこんな風にスタートした。

全く予定外の事だったが、綾子に言った通り俺にとっては嬉しい誤算だった。
毎日綾子の顔を見られる。

会社ではお互い忙しくてすれ違う事も多いから家で会えるのは本当に幸せな事だと思う。

綾子は残業して戻って来てもいつも手料理を振る舞ってくれる。
無理して飛ばし過ぎると後が続かないと言う俺に、綾子は自分がやりたいからだと言って聞かない。
だが本当に体力的にもキツイ営業の仕事の後に家事をさせるのは忍びなかった。

だから俺は彼女に提案する。

「綾子。週末金曜日は外でメシを食おう。それで土日は俺が食事を作る」

「えぇ?どうして?」

綾子は今夜も仕事帰りに夕食を作ってくれている。
俺も彼女を手伝って一緒にキッチンに立っている。

「だってそうだろう?毎日仕事で疲れて帰って来るのにそれから料理して…翌日も朝早く起きて朝食作って洗濯物干して…そんな事を続けてたら綾子の体がいつか悲鳴をあげるぞ?」