綾子…
短い間であっても、俺の了見の狭さ故に苦しめた…。
本当に申し訳なかった。
これからはもう絶対に君を苦しめたりしない。
約束する…。

だからずっと…俺の傍にいて欲しい。
俺の傍で、笑い、時には泣き、憤り…そんなありのままの綾子をずっと見ていたい。

その為なら俺はいかなる試練にも立ち向かってみせる。
俺を選んでくれて、本当にありがとう。
感極まり、俺は久しぶりに涙を流した。
嬉しいのに出る涙は恐らくこれが初めてだ…。
悲しくても滅多に涙なんて出なかったから。

綾子、君もそうだろう?

これから流す君の涙は…すべてが喜びの涙であって欲しい。

「…ん…か、課長…」

ん?
寝言か?
寝言でも課長は頂けないな…。

赤ん坊のように無垢な寝顔で眠る愛しい存在。

その華奢な肩が寒さに震える事がないよう、俺はそっと毛布の端を持ち上げしっかりと掛けた。