部長の話は概ね私が磯貝課長から聞いていた内容と齟齬はなかった。

その場にいた他の新任者も私と同じように元いた部署の上司から聞かされていたようだった。

そしてその武器を最大限に営業の仕事に生かして欲しいと檄を飛ばされた。

今までの営業の不始末の尻ぬぐい…。

そんな事の為に長年培ってきたスキルを使う羽目になるなんて…

やるせなさでどうにかなりそうだった。

そんな私に追い討ちをかけるかのように部長が皆に、今日から外回りに出るよう告げる。

いきなり…今日からですって?

初日は課長と同行してと言ってはいたものの、たった一日だけで後は一人でまわれだなんて…

横暴すぎる…。

不穏な気持ちのまま課へ戻ると課長はホワイトボードに行き先を記入し、私と伊藤さんを連れて営業車へと乗り込んだ。

いたたまれない気持ちがどうしても消えない…。

車に乗ってからも一向に気分が晴れない私に、課長が私の担当からまわると言い出した。