「っていうか…どうしちゃったんですか?なんか今日、課長ヘンですよ?」

そうだろうな…。
それは俺自身が誰よりも感じてるよ。
おかしいんだよ、俺は。
自分でも自分の気持ちがわからないんだ…。

彼女を好きなのは紛れもない事実で、わかりすぎてる。
だがその気持ちの持って行き場がないんだ…。
彼女が俺を好きだという事が、どうしても信じられないんだよ…。

何も答えてやれず俺はただひたすら零したものを拾い集める。

そして俺の最も恐れていた言葉がついに彼の口から発せられる。

「課長…なんか…あったんですか?」

…うん。
実は…あった。
どうしようもなく悩ましい事が、な…。

ええいままよ!

一人で考えてもどうせロクな答えが出ないならこの若者の意見を聞いてみよう。

「伊藤くん…。その…いい年して恥ずかしいんだがね」

「はい」

「若い君の意見を聞かせて欲しい。君は一回り年上の男ってどう思う?」

「は?」