その顔で営業に行けば得意先から痛くもない腹を探られるだろうと思い、俺は彼に同行する事を提案した。

正直、早くこの場を逃れたかった…。

彼女を見ているとどうしようもなく愛しさが募り…

いつもの俺でいられなくなりそうだったからだ。

伊藤くんは彼女と同行しなくてもいいのかと尋ねて来たが、落合はもう彼女に何もしないだろうから恐らく大丈夫だろう。

それに…

もう彼女の方が俺と一緒に行きたくなんてないだろう…。

だから俺は彼に大丈夫だと言って会社を出た。

営業車の中で俺は彼に傷の原因を尋ねた。

適当に誤魔化すような事もせず、彼は正直にあった事を教えてくれた。

彼女の元カレが復縁を迫りに来て修羅場になったらしい…。

まるでドラマみたいな展開に聞いていて驚いたが見かけによらず骨がある彼をある意味羨ましく思った。

仕事では結構がむしゃらに頑張るタイプだが、こと恋愛においてはそういう風に見えなかったからだ。