言ってしまおうか…。

もうこの思いを一人で抱えているには辛すぎると…。

君の中にまだ少しでも俺の事を想う気持ちが残っているのなら…

君を愛してもいいのかと…。

いや、そもそもそんな資格が俺にはあるのか?

俺は女を幸せにしてやる事の出来ない男だ。

いつだって仕事が優先で彼女は二の次だった。

それが原因で破綻したのは何人だっただろう…。

うら若き彼女が過去の女たちと同じようにならないと、どうして言えるだろう。

仕事と恋愛を秤にかけられない俺が彼女を欲しいと、どうして言えるだろう。

考えれば考えるほど終わりのない地獄の淵に堕ちて行くようで…

俺は苦悶に顔を歪めていた。

だが彼女を欲する気持ちに嘘偽りはない。

俺がただ一言、素直な気持ちを伝えれば…

間違いなく俺と彼女の距離は縮まる。

だが俺の心はまるで金縛りにあったかのように動けずにいた。

それは…

彼女を大切にしたいと思う気持ちと、俺のものにしたいという欲望の狭間で揺れ動いていたから…。