行きつけと言っても、本当に頻繁に行っているのは会社近くの定食屋で。
味は間違いないが彼女と行くにはあまりにも庶民的過ぎた。
それに夜の八時を過ぎていてあの店はもう看板だろう。
そう思った俺は定食屋の向かいにあるワインバーに入った。
そこは同期や他の営業課の課長とも来た事がある店で割と雰囲気がよく、料理も酒もなかなかのものを出す店だった。
意気揚々としている俺とは正反対に、彼女は意気消沈しているように見える。
既に俺に対する思いは醒めてしまったのかと思うほどに…。
彼女に似合いそうなスパークリングのロゼといくつかの料理を注文し、待っている間も終始無言を貫いている。
ワインが運ばれて来た後もただグラスを眺めているだけで一向に口をつけようとはしない。
俺は彼女の態度の原因が落合なのかと思い尋ねてみるが、彼女は俺の親切が返って自分を傷つけるのだと言った。
彼女は俺の好意を、上司としての心遣いだと完全に勘違いしていた。
いや…勘違いさせているのはこの俺なんだ。
そうなるように仕向けたのは俺自身ではないか。
そのくせ、彼女を求める卑しい部分を捨てきれずにもがいている…。
最低な…
男だ。
味は間違いないが彼女と行くにはあまりにも庶民的過ぎた。
それに夜の八時を過ぎていてあの店はもう看板だろう。
そう思った俺は定食屋の向かいにあるワインバーに入った。
そこは同期や他の営業課の課長とも来た事がある店で割と雰囲気がよく、料理も酒もなかなかのものを出す店だった。
意気揚々としている俺とは正反対に、彼女は意気消沈しているように見える。
既に俺に対する思いは醒めてしまったのかと思うほどに…。
彼女に似合いそうなスパークリングのロゼといくつかの料理を注文し、待っている間も終始無言を貫いている。
ワインが運ばれて来た後もただグラスを眺めているだけで一向に口をつけようとはしない。
俺は彼女の態度の原因が落合なのかと思い尋ねてみるが、彼女は俺の親切が返って自分を傷つけるのだと言った。
彼女は俺の好意を、上司としての心遣いだと完全に勘違いしていた。
いや…勘違いさせているのはこの俺なんだ。
そうなるように仕向けたのは俺自身ではないか。
そのくせ、彼女を求める卑しい部分を捨てきれずにもがいている…。
最低な…
男だ。