営業部営業一課。

私が異動した先は、会社の中で一番業績の傾きが著しい、ビールを扱う部署だった。

よりにもよって一番大変な部署に回されるなんて…

今年は厄年だったかしら?

いえ、確か女性の厄年は今年じゃない。

そもそも、そんな事はどうだっていいじゃない!

私は受け入れられない今回の人事を、厄年のせいにして自分を納得させたいだけ…ただ、それだけ…

私と共にここに異動してきたのは経理部からやってきた何期か下の男性だった。

課長が言っていた通り、彼も容姿に優れていて、且つ、優しそうな雰囲気を持ち合わせていた。

でも彼の顔にもまた、私と同様の不安が見え隠れしている事に、私は気付いていた。

今までの教育担当としての経験から、人の表情の変化にはすぐに気付く方だと思う。

彼の場合は…そんなスキルを駆使せずともわかるくらい…悲壮感が漂っていたのだけれど。

私もきっと、彼と同じような顔をしているのかもしれないわね…。

いくら磯貝課長から激励されて来たといっても。

営業の仕事が出来る保証なんてどこにもないのだから…。