俺はなんという失態を犯してしまったのだろう…。

上杉くんが俺に一世一代の告白をしてくれたっていうのに…

思いもよらない事だったとはいえ、あまりにも薄い反応は彼女を困惑の淵に追いやったに違いない。

あの真っすぐな純粋な瞳で見つめられて愛を告白されるなんて、思ってもみなかった。

日頃感情をあまり表に出さない彼女だから。
誰にも隙を見せない、頑なな彼女だから。

俺を特別な目で見る事など絶対にないと決めつけていた。

だけど…彼女の瞳の熱はそれを見事に裏切った。

更に言えば…
告白された後、イマイチ理解出来ていなかった俺にとどめの一発を食らわした。

思いがけず触れた彼女の唇の、なんと温かだった事か。

一瞬で離れてしまった温もりは、もう長い間忘れてしまっていた俺の奥底の感情を波立たせるには充分過ぎた…。

年甲斐もなくときめいたのは誰でもない、俺の方だ。