兄の温かさが辛さを加速させてしまう。
いつもいつも私を守ってくれた兄。庇ってくれた兄。

その兄にだけは
私の本心を知っていてもらいたい…。
きっともう誰にもこの思いを明かす事はないだろうから…。

私は自分の思いの丈を全て兄にぶちまけた。

「…そうだったのか…。あの…課長を」

「バカみたいでしょ?一回りも年上の…男の人を好きになるなんて…」

「そんなことないさ…。俺、一度しか会ってないけど…いい男だって思ったよ。見た目だけじゃなくて何か…器の大きそうな人だなって」

兄の評価が自分の事のように嬉しかった。
たとえ私の恋は終わってしまったとしても、課長が褒められるのは無条件に嬉しいから。

「そういう器の大きい所も…好きになった理由だと思うの…。でもね…やっぱり課長にとっては一回りも年下の私なんてただの子供と同じなのよ…。恋愛の対象としては見てくれないの…」

きっと兄は私を慰めてくれる。
小さい時のように優しく頭を撫でてくれる。

そう…思ったのに…

兄は私の予想に反する言葉を静かに吐き出した。

「俺は…違うと思う」