「俺は…」

課長の表情が更なる苦しみにもがいているように見える…。

ああ…

今私は…自分の愛する人をこんなにも苦しめているのね…。

本当にこの人の事を想うなら…
苦しめてはいけない。
そんな当たり前の事に気付けなかった自分が許せなかった。

「ごめんなさい…」

思わず出た謝罪の言葉。
愛する人を傷つけるのは私の本意ではないの…。

だから…

だからもう、充分よ…。

あなたのその苦しそうな表情だけで…
納得しましょう。

潔く諦める。
もうあなたを苦しめたりしないわ。
約束する。

「上杉くん…」

「もういいです…。課長が悩まれるのを望んでいる訳ではありません。課長のお気持ちを考えず、一方的に思いを告げてしまったのは浅はかでした。もう…忘れて下さい」

私はそれだけ言うと席を立つ。

これ以上あなたの顔を見ていたら私…私は…
きっと取り乱して泣いてしまう。

今以上に…あなたを苦しめてしまうから…

それだけは…
してはいけないから…!