「ククッ…。いやぁ…意外に面白いな、君は」

「意外、でしょうか?」

「だってそうだろ?今までクソ真面目な態度で…仕事以外の事は全く何も言わなかったんだ。意外だと思うだろう?」

それは…否定しないわ…。

私だって当初はあなたの事をあまりよく思っていなかったんだから…。

「最初は…警戒していましたから…。慣れない仕事で緊張もしていましたし…」

「そうだな…。でも随分慣れたな。元々要領がいいし段取りもいい。どの部署に行っても通用する人材だと思う」

仕事では…そうなのかもしれないわね…。

でも私は…

どこの部署に通用する人材になるよりもあなたの…

あなたに通用する人材になりたいの…。

「私は…ここが…営業部が気に入っています…。ずっと…ここで…課長の元で仕事をしたいです…」

「管理部門のしかも人事部のエキスパートだった君にそこまで言ってもらえると営業冥利に尽きるな。今の言葉、部長に聞かせてやりたいよ」

本当は営業部じゃないわ。

気に入っているのは…あなた…

ただ…あなたの傍に…いたいだけ…。

そんな私の気持ちに気付かないの?

さっきはなんとなく気付いてくれたかと思ったけど…

今ははぐらかされているような気がする…。