私は自虐的な課長の物言いに立腹した。

どうして?

どうしてそんなに自分を蔑む必要があるの?

何がくたびれた中年男よ!

そのくたびれた中年男に丸ごと心を持って行かれた女が目の前にいるのよ!?

「くたびれた中年男なんかじゃありません…」

「え?」

「課長は…くたびれてなんていません…。今でも充分…素敵です…」

言ってしまった…。

もう引き返せない…。

課長は私を見据えたまま固まっている。

「上杉くん…君は…目が悪いのか?」

「は!?」

「いや…君みたいな若い女性が俺を素敵だなんて言うから…驚いたよ…」

「素敵だから素敵と言ったまでです。思っていなければ言いません。私がお世辞を言える性格だと思っているのですか?」

「…いや…思わない…」

「ですから私の正直な気持ちです。素敵だと思う事も間違っているのですか?」

「それは…個人の…自由だ…」

「だったら課長は文句を言わずに素直に聞いて下さい」