夕食を食べ終えた僕は。スナック菓子を手に取って開け、彼女に言う。

『何を話すの?』
『う〜ん。』『なんでもいいよ?』
『クラスの事とか、好きな人とか、とにかくなんでも。』

と言うことなので、とりあえず首肯しておく。

『分かった』
『なら、交互に聞いていく感じでいい?』
『分かった。じゃあ私からね?』
『うん。』
『そうだねぇ。』

『じゃあ、なんで絵を描いてるの?』
『いきなり結構な質問だね。』
『あ、ごめん。』
『質問変える?』
『いや、いいよ。』
『隠すことでもないしね。』

『僕は、中学の頃、友達に誘われて美術部に入ってたんだ。』

『だけど、人間関係につまずいて、そんなに学校に行かなくなったんだ。』

『でも、家にいると退屈で、ある日家の近くを散歩している時に川を見つけたんだ。』
『そこから、少しずつだけど書き進めて、今の絵になる。』

『深いね…』
『そうかな。』
『なんか、ごめんね。』
『別に気にしてないからいいよ。』
『分かった。』
『じゃあ、次は君の番だね。』

『どうして君は、いつも前向きなの?』
『ポジティブな方が、笑顔でいられるかなって思ってるだけ。』
『その方が元気も出るしね。』
『確かに。』

『じゃあ次私ね?』
『あぁ、いいよ。』

『クラスの中で好きな人は誰なの?』
『どうだろう。』『しいて言うなら、自分の席の右斜め前の人かな。』

『あー、佐々倉さんね?』
『どうして好きなの?』
『なんか、大人しそうで、気が合いそうだなと思ったから。』
『確か、今、あの子フリーのはずだから、チャンスだね!』
『僕、しいて言うなら、って言ったと思うんだけど。』

『ごめん。』『今もう11時だし、お菓子もなくなってきたから、この質問で最後にしよう。』

『分かった。』

彼女も疲れているのだろう。素直に同意してくれた。

『じゃあさ、どうして君は、周りの僕より親しい友人じゃなくて、この旅行に僕を誘ったの?』

『………君になら話してもいいかなって思ったからかな。』
『何を?』
『ごめん。今は言えない。』
『分かった。言いたくないなら言わなくていいよ。』
『こんな質問して悪かった。』
『いいよ。気にしないで。』

そのあとは、お互いにシャワーを浴びて、
ベッドに入った。