新幹線に揺られて静岡を過ぎた頃、ずっと気になっている事を聞いてみる。

『どうして大阪なの?』
『いやー関西といえば、大阪でしょ?』
『どうして、関西なの?』

さらに聞いてみた。

『私はたこ焼きが食べたいのです!』

…はぐらかされた。
まぁ、言いたくないのなら仕方がない。
僕は、口をつぐんだ。

『あれ、もう聞いてこないの?』
『なんで?』

彼女が聞いてくる。

『君が言いたくなさそうに見えたから。』

と僕は答える。

『案外優しいんだね。』
『根暗なくせに。』

なんだか、少し悪く言われたような気がしたので、

『最後の一言は余計だろ。』

と反論しておく。

『その前の一言は良いんだ〜』

と彼女。
そんな他愛もない話をしていると、
至って普通の女の子とその両親が席を探して近づき、通り過ぎていった。

その時、彼女の顔が曇ったような気がした。

少しして、新大阪駅到着のアナウンスが流れて、僕たちは席をたった。