イトカの発言に
呆れて声が出ないのか
シバ社長の表情は更に曇っていく。

この緊張感の中でも引かない彼女は…


「秘書面接に遅れてしまったのは私の責任です。
 なので諦めます。
 ですがッ!
 このビルで仕事をさせてもらいたいんです!
 どんな仕事でもしますッ
 だから他の面接でお願いします!」


深々と90度に頭を下げたまま
シバ社長の次の言葉を待った。


「”なんでもする”
 今そう言ったな」

「はい!
 なんでもさせて頂きます!」


頭を下げたまま
よく考えもせずに即答してしまう。


「履歴書を出せ」

「あ、はい!」


手応えがあったのを感じ
持ってきた鞄から封筒を取り出すと
さっと社長の前に提出。

表情1つ変えず
手渡された履歴書に無言で目を通し始めた。


せっかく掴んだチャンス。
コレを逃したら二度とないかもしれないと
ドキドキしながらその様子を見つめていた。


すると…


「パソコンが得意なのか?」


面接らしい質問を投げかけられた。


「得意…とまでは言えないですが
 基本的な事なら…。
 まぁ…だからさっき手を出しちゃったんだけど」