文句の1つも言いたかったが社長のためだとグッと堪え、黙って大人しく何も言わずにいた。
「隣に座れ」
キャバクラのように自分のまわりに座らせていた数人の女性を追い払い、イトカを隣に座らせるとそれはすぐに始まった。
「さすが若い女の肌艶は良い。色白の細見で申し分《ぶん》ない」
さっそくと言うように右手を腰にまわし自分の方へ引き寄せ密着させると、耳元で鼻息を荒くしながら左手はイトカの太ももを触っている。
半端ない気持ち悪さととてつもない恐怖に、ガクガクと震えが止まらず冷や汗までも出てくる。
しかし金我はお構いなしに容赦なく続け、更にその手はエスカレートしていく。
「良い香りだ。あー……興奮してきたぞ」
遂にはスカートの中に手を伸ばし、下着の際どい所に触れたのだ。
「……ッ」
逃げ出したくても恐怖のせいか身体が硬直してしまい、声すら出せない。それなのに涙だけは溢れていく。
こうなる事はわかっていたが、それでも社長を守りたった。
なぜそこまでするのか、イトカはまだ自分の気持ちに気が付いていない―――