けれど
それ以外の選択肢がないイトカ。
「…わかりました。
頑張ります…」
承諾するしかなかった。
彼女がココまでしてこの会社で
社長の下で働く事にこだわるのには理由があった。
それは誰にも言えず
1人で苦しんできた彼女にしか
わからないもの―――
「じゃぁまずは
明日までにこのビル内を全て把握しろ」
「明日まで!?」
「当たり前だ。
今日みたいに他人に迷惑を掛けられては困る。
最低限、このビル全体と働く者すべて
しっかり覚えろ。いいな」
「…はい」
そんな無茶ぶり全然良くはないが
社長命令で言われたからには
そうするしか他に手がない。
イトカが今後働くとしてしての拠点を
細かく説明されていないが
聞いたってきっと
『質問するな』とだけしか言われない。
なんとなく理解したおかげで
説教される前に諦められた。
「このビルの見取り図は
秘書の鮫島から貰え」
新しい秘書の名で紹介をされたかと思うと
突然背後から現れた長身の美女に
ビックリしてしまった。